土居 前上野動物園園長(現 パンダ保護協会会長)から
- 公開日
- 2020/06/01
- 更新日
- 2020/06/01
応援メッセージ
【自分なりの工夫をして、楽しく前に進もう!!】
野生のジャイアントパンダは、生まれてから三か月くらいになると、歩いたり、木に登ったりすることができるようになってきます。そして、こうした遊びのような行動をすることを通して、周囲の環境について学んでいくのです。半年も経つと、木の上で動いたり休んだりして地表での敵に襲われるような危険を避けるようになります。でも時々、木からおりて、母乳を飲み、母親と遊んで木の上に戻るような生活をします。木の上では、じっとしているだけではありません。舌を出したり、手をなめたりもします。写真は、中国のジャイアントパンダ保護研究センターで撮影したものです。これからも、アクロバットのような器用な動きをしていることに気がつくでしょう。なぜだかは分かりませんが、いろいろな姿勢をとることを自発的に行っているのは間違いありません。
生き物は、自分たちが生活している環境のなかで生きて行くために、いろいろな行動をとります。木の上のジャイアントパンダの子どもは、そこに座っているだけでなく、さまざまな動きをすることで、結果としてバランスのとり方や運動能力などを高めています。人間にとっても、体を動かすと同時に頭を使うことは非常に大切です。どんな場所であっても、工夫次第で何かしら良いことができるということを、ジャイアントパンダは教えてくれているのではないでしょうか。
予想もしなかった中にあっても、自分なりの工夫をして、楽しく前に進んでいきましょう。
日本パンダ保護協会会長、東京都立大学客員教授 (前上野動物園園長)
土居利光